かすがい皮膚科

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スタッフブログ

Staffblog
2022.09.22

アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法について

アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法
(アトピー性皮膚炎とは…)
アトピー性皮膚炎は,増悪と軽快を繰り返す疾患です。寛解状態を維持することを目標に治療しています。
症状悪化時だけ治療をしていると強いランクのステロイド外用を塗り続けることになり、ステロイド外用の副作用のリスクも高くなります。
アトピー性皮膚炎の良い状態をキープするには、プロアクティブ療法が重要です。
治療によって一見皮膚炎がないように見えるところまで改善しても、潜在的な炎症が皮膚に残っていることもありこのような場合には、炎症が再燃しやすく*TARCの値が十分に下がりきっていないことが多いです。このような状態で外用を止めるのではなく継続して皮膚を良い状態に維持することによって徐々に潜在的な炎症がとれ、皮膚炎の起こりにくい寛解状態を維持することができます。

(アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法とは)
急性期の治療によって、寛解導入した後に、保湿外用薬によるスキンケアに加え、ステロイド外用薬や*タクロリムス外用薬、*JAK阻害薬、*PDE4阻害薬などを週2回など間欠的に塗布して、寛解状態を維持しようという治療方法のことを言います。
皮膚がつるつるになっても間隔を空けながら、抗炎症外用薬をつかって、湿疹の再燃を予防しようとするのがプロアクティブ療法ですが、プロアクティブ療法をしていても湿疹の再燃や掻痒の再燃が起こる場合もあり、そのときはしっかり治療を行い、再び寛解状態に戻す必要があります。湿疹が再燃し始めているのに、そのまま間 的な抗炎症薬の外用を続けていると湿疹のコントロールができなくなることがあるので、注意が必要です。

*TARC…血中のTARCの数値は、皮膚の炎症の強さとの相関が認められており、炎症が強いほど高値を示します。炎症の状態をより正確に把握できるようになりました。

*タクロリムス外用薬…(商品名:プロトピック軟膏)アトピー性皮膚炎の炎症を鎮静させます。有効成分が大きいため、バリア機能が低下した炎症部位にはよく吸収されるが、健康な皮膚では吸収されにくいという特性があります。

*JAK阻害薬…(商品名:コレクチム軟膏)炎症性サイトカインにより起こる細胞内シグナル伝達を阻害し、抗炎症作用を示します。

*PDE4阻害薬…(商品名:モイゼルト軟膏)PDE4は、炎症細胞において炎症を抑えるシグナルを分解し、炎症を悪化させてしまう酵素で、その酵素を阻害して炎症とかゆみを改善します。

アトピー性皮膚炎の治療については近年新しい薬が次々と発売されています。
前回のブログでご案内したミチーガやデュピクセントなどの注射剤の取り扱いもあります。
必要に応じてご提案させていただきます。
アトピー性皮膚炎でお困りの方は度相談ください。

参考文書
第116回日本皮膚科学会総会14
教育講和44-3 プロアクティブ療法は市民権を得たか 広島大学大学院 准教授 田中暁生
日本皮膚科学会ガイドライン アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021

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