みなさんアレルギーと聞くと何を思い浮かべるでしょうか。特に今の時期は花粉症が1番に思い浮かぶ方が多いでしょう。他にも、食べ物・動物・金属と思いつくアレルギーがあるかと思います。一番多くの方を悩ませる花粉症は、鼻水・くしゃみ・目が痒いという症状のイメージが強いですが、皮膚に現れる症状も多くあります。顔の痒みがひどくなったので皮膚科に受診しましたという方の中には、花粉によって皮膚に症状が現れる花粉皮膚炎の状態である方もみえます。過去のブログに花粉皮膚炎の原因と予防法について記載がありますので併せてご覧ください。(2020/3/20 花粉皮膚炎知っていますか?)
ではまず、花粉症はどのようなアレルギー反応でしょうか。アレルギー反応は4つの型に分類されます。
I型(即時型)ーアナフィラキシー反応
Ⅱ型(細胞障害型)ー細胞溶解性反応
Ⅲ型(免疫複合体型)ー免疫複合体反応
Ⅳ型(遅延型)ー細胞性免疫反応
4つの型の中で最も一般的なのがⅠ型です。Ⅰ型に分類される主な疾患は、蕁麻疹・薬疹・花粉症・気管支喘息・アナフィラキシーショックです。これらは、IgEという抗体が関与しています。このIgE抗体の量は採血で調べる事ができ、アレルギーの程度を知る事ができます。また、『View39』という採血では、特異的IgE抗体を39項目調べます。
◯吸入系アレルゲン
・室内の塵:ヤケヒョウダニ、ハウスダスト
・動物:イヌ、ネコ
・昆虫:ガ、ゴキブリ
・樹木:スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ
・草:カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、オオアワガエリ
・カビ:アルテルナリア(スズカビ)、アスペルギウス、(コウジカビ)、カンジダ、マラセチア、ラテックス
◯食餌系アレルゲン
・卵:卵白、オボムコイド
・牛乳:ミルク
・小麦:小麦
・豆、穀物、ナッツ類:ピーナッツ、大豆、そば、ごま、米
・甲殻類:エビ、カニ
・果物:キウイ、りんご、バナナ
・魚、肉類:マグロ、サケ、サバ、牛肉、豚肉、鶏肉
これらを調べることにより、日常生活で気をつけることや、植物に関しては気をつけるべき季節を自覚する事ができます。ただし、食物に関しては陽性でも必ずしも食べてはいけないというわけではないので医師の指示に従ってください。
次に多いアレルギー反応は、Ⅳ型アレルギー反応です。Ⅳ型アレルギーの中で主な疾患に、アレルギー性接触皮膚炎があります。
アレルギー性接触皮膚炎とは物質が頻回に皮膚に触れ、皮膚から吸収されることで生じるかゆみやヒリヒリ感を伴う湿疹、いわゆるかぶれの事をいいます。
この皮膚炎は、特定の物質(アレルゲン)が皮膚に触れた後、体がアレルギー反応を起こすようになり、再度そのアレルゲンに触れることによって引き起こされる皮膚炎をいいます。また人によってアレルゲンは異なります。
現代社会では通常生活で繰り返し種々のアレルゲンが皮膚から吸収される機会があります。例えば、顔に化粧品・リップクリーム、耳にピアス・イアホン・眼鏡フレーム・染髪剤、首にネックレッス・香水などです。いつまでも、皮膚の赤みが続いたり、茶色く変色したり、治療をしているのに治らない時には身近に原因があるかもしれないと考えることが必要でどこに何が触れたかということを問診していきますが、必ずしも特定できるとは限りません。しかし、商業上や生活をする上で支障をきたす場合はアレルゲンを特定する検査を行い増悪因子となっているアレルゲンを見つけることが大切です。Ⅳ型アレルギーの検査はパッチテストを行います。パッチテストは採血のように簡便ではなく、通院が何度か必要な上、検査によってアレルギー反応が引き起こされることもあるため、検査の実施は慎重に判断します。
当院でのパッチテストは背部に種々のアレルゲンを貼り、経時的に反応を観察し、皮膚炎と何らかのアレルゲンが関係しているかを確認します。
本来は皮膚炎が治ってから原因確認を目的にパッチテストを行いますが、なかなか治らない皮膚炎の患者さんに実施することもあります。
当院のパッチテストで調べられる項目は限られています。(佐藤製薬のパッチテストパネルSⓇを用いています)歯科金属アレルギーには対応しておりません。また持ち込みの化粧品など個別のパッチテストは行っておりません。詳しくは一度ご相談下さい。
※接触皮膚炎の可能性が低い場合、症状の確認ができない場合にパッチテストをご希望されても保険適応外となりますのでご了承下さい。
パッチテストの実施は医師の判断になります。
【パッチテストのスケジュール】
〜1日目〜
アレルゲンを貼る
日常生活上アレルギーが成立している可能性のあるアレルゲンを貼付します。なるべく汗をかかない、窮屈な下着を着ない、ブラジャーははずすなどの注意をして検査が正確に行われるように協力をお願いします。
〜2日目〜
来院はせず、貼付したままでお過ごし下さい。
〜3日目〜
結果判定(1回目)
受診してアレルゲンを剥がします。剥がした刺激がおさまった30分〜1時間後に皮膚の反応を確認します。
〜4日目〜
結果判定(2回目)
皮膚反応を確認します。
7日目に3回目の結果判定をします。必要に応じて1か月後に判定します。
パッチテストを実施する事で、皮膚が着色される事や(2週間程度)陽性反応を示した場合はテスト部位の皮膚に軽い赤みやぶつぶつができることがあります。また、判定後速やかに治療をしますが、反応が強く出るとしばらく反応が残存する事があります。
アレルギー症状は、日常生活の質を低下させることにも繋がりますが、日常生活に原因が溢れています。原因を探し対策を取ることで日常生活をより豊かにする事ができるかも知れません。また、アレルギーだからと自己判断し諦めていた症状も実はアレルギーではなく他に原因があるということもあります。生活の中でお困りの症状がございましたら、一度皮膚科専門医を受診されることをお勧めいたします。
参考文献
佐藤製薬株式会社勉強会資料