イボができましたー!と受診される方が多いのですが、実際に診察すると違う病気であることもあります。
また、イボだとしても放っておいて治るかなと思ったと、悪化してから受診される方がいます。
一般的に言われるイボは、『尋常性疣贅』(じんじょうせいゆうぜい)という疾患であり、治療をしないで放置すると、大きくなったり硬くなることだけではなく、他場所にうつってしまいます。ウイルスが原因なので、悪化するまえに治療をしましょう。
今回はイボと間違いやすい疾患を一つ一つ解説します。
(稗粒腫)
眼瞼部に高頻度にみられ、ついで頬部に好発します。顔面に白くぽつっとした膨らみとしてみえるため、気がつき受診される方がみられます。直径1〜2mm、表皮直下に出現する白〜黄白色の硬い小丘疹のため、切開により白色の角質塊を排出します。しかし、傷が残る可能性があるため、自然にとれることを待つ場合も多くあります。
(脂漏性角化症)
脂漏性角化症は、皮膚の老化が原因で生じる良性腫瘍です。色は褐色から黒色で、大きさは5mmから1cmほど。顔や手の甲をはじめ、全身の皮膚に発生します。表面がザラザラしているものからツルツルしているものまで様々です。加齢や日光、体質などが原因です。
(スキンタッグ)
スキンタッグは、中高年にできやすいイボです。大きさは1~3mm程度で色は褐色、皮膚面から飛び出したような形状をしています。首やわきの下・胸・まぶたなど、皮膚が薄い場所にできやすい傾向があります。ウイルス性ではないため、放っておいても特に問題はありません。ただし、衣服でこすれたり触ったりすると炎症を起こす恐れもあります。
(水イボ)
伝染性軟属種ウイルスの感染により、1~2mm程度の光沢のあるイボができる病気です。水ぶくれのように見えることから、俗に水イボとも呼ばれています。身体のどこにでもできます。
ウイルスが皮膚の小さな傷口などから体に入り込んで感染することで発症します。皮膚が弱く、皮膚を守るはたらきが発達していない乳幼児がかかりやすいといわれています。また、免疫力が低下していたり皮膚に傷があったりすると接触によって発症しやすくなります。
特にイボの内部には原因となるウイルスが潜んでいるため、潰れたイボに触れた指でほかの部位をかいたり触れたりすることで、新たな感染が生じることがあります。
(タコ・ウオノメ)
タコ・ウオノメは、皮膚の一部が慢性的に圧迫されたり摩擦を受けたりすることで角質が厚くなる症状です。
タコは足の裏にできることが多いですが、生活習慣や職業によっては手の平や指などにも現れます。
ウオノメは病変の中心に硬い角質の芯ができます。そして、この芯が神経を圧迫して痛みが出ます。ウオノメができやすいのは、足の裏や足の指です。歩行時に痛みが強く出る場合は、病院での治療をおすすめします。
以上のように、初めてみるとイボだと思っても違う疾患のことがあります。そのままにしておくと症状が進んでしまうこともあります。迷った時、心配になった時は皮膚科を受診し皮膚科専門医の診断を受けることをお勧めします。