ステロイドについて
ステロイド外用薬についてどのようなイメージをお持ちですか?
「ステロイド外用薬は怖い」「副作用が強い」と、使用を不安に感じる方もいるかもしれませしかし、副作用を心配して、決められた量よりも少量しか使用していない、短期間ですぐにやめるなどの中途半端な使い方をしていては、ステロイドの十分な効果が得られません。
薬の特性についてよく知り、正しく使用することが大切です。
〈ステロイドの効果〉
ステロイド外用薬とは、皮膚科領域で重要な外用薬です。
局所(塗った部位)の炎症を鎮める作用にすぐれており、主に湿疹・皮膚炎群に用いられます。
抗炎症作用 炎症を促す物質の産生を抑制します。
細胞増殖抑制作用 炎症反応を引き起こす細胞の増殖を抑えます。
血管収縮作用 炎症部の血管を収縮させることで、患部の赤みを鎮めます。
免疫抑制作用 抗体の産生を抑制します。
まずはステロイドの部位による吸収の差についてお話しします。
皮膚の厚さは1.5~40mmであるが、部位により異なり、眼瞼や包皮・小陰唇内側が最も薄く、手掌・足底が最も厚いです。
このため、部位により外用薬の吸収に大きな差が出ることが明らかとなっています。
仮に腕を1とした場合。吸収がよりよいのは外陰部で、実に前腕の42倍に及びます。
また、顔面も吸収がよく、これに対し、手掌足底は表皮も厚いうえに毛包もなく、吸収が悪いです。
仮に同じ強さの副腎皮質ステロイド外用薬を用いた場合、前腕に比較し、陰部や顔面では吸収が高くなってしまうので、効果も高くなる半面、副作用も出やすくなってしまいます。
ステロイドの外用薬使用時の主な副作用は皮膚萎縮、酒さ様皮膚炎、感染症、毛細血管拡張、多毛、ざ瘡などが上げられます。副作用を出さないために、症状の軽快とともにより弱いランクの副腎皮質ステロイド外用薬に適時レベルダウンを行っていきます。また、全身性の副作用としては、外用は内服に比較し吸収が悪く、下垂体・副腎皮質機能抑制は軽度であると考えらますが、それでも使用する外用薬のレベルにより長期に連用していると副腎機能抑制がかかることがあります。この点に関して、全身的副作用を検討した報告によると、最高クラスのストロンゲストの副腎皮質ステロイド外用薬においても、成人で1日5g程度の使用であればおおむね問題ないとされています。
ただし、アトピー性皮膚炎など、ドライスキンでバリア機能が障害された皮膚からは、より多くの副腎皮質ステロイドが吸収されるため、注意が必要です。
かすがい皮膚科ではステロイド外用の正しい塗り方や使用方法についても指導を行っております。
今回、ステロイド外用薬についてQ&A形式でご紹介したいと思います。
Q:ステロイド外用薬を使用すると色が黒くなってしまう?
A:使用したから黒くなるのでは、ありません。炎症のあとが一時的に黒くなることもありますが、時間がたてば薄くなっていきます。
日焼けの後に肌が黒くなるように、皮膚の炎症が治まった後に色素が残り、肌が黒くなることがあります。ステロイド外用薬を塗った後に色が黒く感じるのは、炎症の赤みで見えなかった色素が、ステロイド外用薬の使用により炎症が治まることで、かえって目立ってくるからです。その色素も時間とともに徐々に薄くなってきます。
むしろ、ステロイド外用薬などをなるべく早く用いて炎症を治め、再び悪化しないよう、気を付けることが色を残さないためには大切です。
Q:ステロイド外用薬を長期間使用すると、血管が浮いて、皮膚が薄くなる?
A:医師の指示を守ってお薬を上手に使えば避けることもできます。
お薬の吸収がよい顔面や、お年寄りの皮膚に、長期にわたって強いステロイド外用薬を使用し続けると、血管が浮いてきたり、皮膚が薄くなったりすることがあります。
しかし、このような副作用は、適度な強さのステロイド外用薬を、適切な期間、お薬を休む期間を設けながら使用していけば、避けることもできます。また、こういった局所副作用のない他の抗炎症外用薬にうまく移行することもアトピー性皮膚炎ではよく用いられる方法です。
自分の判断で、いつまでも続けて使わないようにしてください。
Q:ステロイド外用薬は皮膚に蓄積する?
A:ステロイド外用薬が皮膚に蓄積することはありません。
ステロイド外用薬が皮膚に蓄積し、いろいろな副作用が現れるのではないかと心配する人がいますが、これは正しくありません。
もしステロイド外用薬が皮膚に蓄積するのであれば、使用中止してもしばらくは効果が持続するはずです。
しかし、実際はステロイド外用薬を突然中止することで症状が悪化してしまう事実からも、皮膚に蓄積していないことがわかります。
ステロイド外用薬について
2020年12月18日
ブログ参照
塗り薬のよくある質問
2021年10月15日
ブログ参照
こちらも参考にしてください。
参考文献
皮膚科学看護スキルアップシリーズ②
外用療法
病気がみえる14 皮膚科
