シワがあることで実年齢より老けて見えるだけでなく、周りから機嫌の悪い人に見られてしまうことがあります。そんなシワに対しての治療の一つであるボトックス注射について説明していきます。
私たちの顔は骨・筋肉・皮下脂肪(皮下組織)・真皮・表皮の5つの層から成り立っています。シワやたるみは皮膚の表面だけで起きていると思われがちですが、実はこれら全ての層が関わっています。加齢とともにそれぞれの層に変化が起き、シワやたるみを作っているのです。シワには原因によって4つの種類があります。
①皮膚表面の乾燥から生じる“小じわ”
②紫外線などの影響によって真皮の膠原繊維、弾性繊維が変性して生じる“真皮性のしわ(大じわ)”
③表情筋の収縮によって生じる“表情じわ”
④重力に顔面の筋肉が抗しきれなくなった“たるみ”
それぞれ治療法が異なりますので、今回はボトックス注射で治療できる表情じわについて詳しくご紹介します。
表情じわとは、表情が変化するときに筋肉を動かすことが原因でできてしまうシワのことをさします。眉をひそめた時にできる眉間のしわや、笑った時にできる目尻のしわ、表情のくせによる額の横じわや、あごのしわなどがあります。年齢を重ねたお肌は皮膚の弾力が低下します。同じ表情筋を繰り返し使っていると、その部分の筋肉が発達し、しわがそのまま残り消えなくなります。
【目元】
目じり・目の下にできる放射線状の表情ジワの原因は、目の周りにある眼輪筋と呼ばれる目を閉じたり、笑ったりするときに動く筋肉によってできてしまいます。ですから目尻にボトックス注射を打つことで、この部分の筋肉の動きを弱め表情ジワが改善します。
【眉間・額】
おでこのシワは前頭筋という筋肉が動くことによってできます。前頭筋は眉毛を上にあげたり、目を大きく開ける時に使います。ボトックス注射を行い、この部分の動きを弱めることで表情ジワが改善します。
【顎ボトックス】
あごのしわ(うめぼしじわ)は、無意識に顎の下にあるオトガイ筋に力が入り、知らないうちにしわを作っていることが多いです。このような表情じわにはボトックス注射での治療が可能です。
次に、ボトックス注射について説明します。使用する薬剤はボトックスビスタです。ボトックスビスタは表情じわの原因となる表情筋の緊張を和らげて、眉間や目尻などのしわを目立たなくします。この薬の効果は通常2〜3日目から徐々に現れ、通常3〜4ヶ月持続します。その後、時間の経過とともに効果が消失し投与前の状態に戻ります。
【成分】
ボトックスビスタの成分は、ボツリヌス菌の作り出すA型ボツリヌス毒素(天然のタンパク質)を有効成分とする薬剤です。ボツリヌス菌から抽出されたたんぱく質の一種なので毒素ではありません。
【厚生労働省承認】
日本で唯一、厚生労働省が承認したボツリヌス治療製剤です。
日本の基準での有効性、安全性が評価され、厳しく品質管理されています。
また、ボトックスビスタによる治療を行うことができるのは、所定の講習を受け、認定された医師のみです。
治療のながれ
①事前に美容診察で気になるしわについて相談する
(美容診察は自費になります。)
②診断、治療の説明を受ける
③予約
(火曜日の午前中になります。2週間後の効果チェックの予約も一緒にお取りします。)
④お会計
施術当日
①施術日、予約時間に受付
②洗顔し、写真撮影
③診察、注射をする
顔の表情筋に、少量のボトックスビスタをごく細い針で注射します。
治療にかかる時間は10分程度です。(個人差があります。)
基本的に麻酔も不要で、通院や入院も必要ありません。治療当日から普段通りの生活ができます。
④お支払い
⑤帰宅後、下記の『治療後の注意事項』に気を付けてお過ごしください
治療前に注意すること
【ボトックスが受けられない方】
①全身性の筋肉の病気にかかっている
②妊娠している、妊娠している可能性がある
注)投与中、および最終投与後2回の月経を経るまでは避妊する必要があります。男性は少なくとも3ヶ月避妊してください。
③授乳中
④過去にボツリヌス治療を受けてアレルギーを経験した
⑤使用中の薬剤がある(特に抗生剤、筋弛緩剤、精神安定剤など)
⑥喘息などの慢性的な呼吸器疾患や緑内障がある
※他の医療施設にてボツリヌス製剤で治療を受けている方は治療対象疾患及び、必ず投与日、またわかれば投与量をお申し出ください。
治療後に注意すること
①注射当日の洗顔は問題ありませんが、注射部位を揉んだり、強くこすったりしないでください。
②治療から約2週間後に、治療効果のチェックを受けてください。また、何らかの異常が現れた場合には、早めに受診してください。
③注射部位に内出血を起こすことがあります。
④副作用が現れることがあります
ボトックスビスタでは、頭痛、瞼が下がる、注射部位の局所的な痛み、顔の痛み・赤み、筋肉の部分的な脱力、注射部位周辺の腫れ・あざ、皮膚のつっぱり、無痛覚、チクチクする感じ、吐き気などが報告されています。
より効果的な表情じわ治療
ポイント1
治療を受けてから3〜4ヶ月経つと、表情筋がリラックスした状態から、しわが刻まれやすい治療前の状態に戻ります。そこで治療をやめず、3〜4ヶ月ごとに継続すれば、若々しい印象を保つことにつながります。
ポイント2
お顔の筋肉や皮膚は、すべてがつながっています。だから、「ここが気になる」という表情じわだけをピンポイトで治療するよりも、お顔全体を立体的に捉え、複数の部位に働きかけることが、より自然にしわを目立たせなくする理想的な方法です。
ポイント3
表情じわは、声を出して笑った瞬間やスマートフォンに集中しているときなど、意外と本人は気付きにくいもの。深いしわに定着してしまう前に、早めの治療が有効です。
Q&A
Q痛い?
A注射の痛みはありますが、通常はすぐおさまります。当院では注射前に冷やしてから施術することで痛みの緩和を心がけています。
Q目尻と眉間など、複数部位を一度に両方注射できる?
Aはい。一度に複数の部位に注射できます。特に、眉間とおでこは単部位よりも同時施術の方がより効果が出ますのでお勧めします。
Q表情が不自然にならない?
A適切な量を適切な場所に注射すれば、外見が急激に変化したり、不自然な表情に見えたりすることはありません。
Q治療をやめると、しわが悪化しない?
A表情がリラックスした状態から元の状態に戻るだけで、治療の影響でシワが悪化することはありません。
Q前回、効きすぎた気がするけど大丈夫?
Aボツリヌス治療に対する筋肉の反応性には個人差があります。医師にその旨をしっかりと伝え、注入する量を調整してもらうことが大切です。
Q副作用はあるの?
A副作用の多くは、適量以上の注入による薬剤の効きすぎが原因で起こります。眼瞼下垂、眉毛下垂などの副作用は、効果の減弱とともに消失します。
Q厚生労働省に承認されているのは、ボトックスビスタだけなの?
Aはい。ボトックスビスタはボツリヌス治療の日本で唯一の承認薬剤です。日本人での有効性、安全性が試験で評価され、厳格な品質管理が行われているので、安心して治療を受けていただけます。