こんにちは。今週のかすがい皮膚科のブログは帯状疱疹についてです。
帯状疱疹のワクチンは、2025年度より予防接種法に基づく定期接種の対象となりました。帯状疱疹のワクチンは50歳以上の方は接種することが可能ですが、定期接種は65歳の方が対象です。定期接種についての詳細は各市町村にご確認ください。
広報誌やメディアにも取り上げられ、帯状疱疹の認知度は高まっていますが、帯状疱疹の治療は発症後早期に対処することが重要です。そのため、初期症状を自覚したら皮膚科に受診してください。
帯状疱疹とは、水ぼうそう(水痘)と同じウイルスが原因で起こります。
水痘帯状疱疹ウイルスに初めて感染することで、水ぼうそうを発症します。その後、ウイルスは神経節に潜伏しますが、体に備わる免疫のよって活動は抑えられています。その後、加齢や過労・ストレスなどの要因によって免疫力が低下すると、ウイルスが再び活性化し帯状疱疹を発症します。日本の成人の約9割の方がウイルスを保持しています。50代から患者数が急増し80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。
◯症状
神経支配領域に沿った疼痛・感覚障害が先に起こり、数日後に皮膚症状が生じます。皮膚症状は紅斑・水疱・膿疱・痂皮の順に経過をたどります。体幹や顔面に認めることが多く、神経支配領域に沿って帯状・片側に生じることが特徴です。
疼痛や皮膚症状は2〜3週間で軽快しますが、一部の方は皮膚の症状が軽快しても疼痛が残ることがあります。この痛みのことを帯状疱疹後神経痛といいます。帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹発症から3ヶ月以上経っても神経痛が持続するものをいいます。高齢者や、皮疹・疼痛が重症であった患者で発症しやすい傾向にあります。これらはウイルスの再活性化により知覚神経で炎症が起き、神経が障害されます。その結果神経障害性疼痛が残ってしまいます。
◯治療
水痘帯状疱疹ウイルスに対して抗ウイルス薬を内服します。また、疼痛に対してはアセトアミノフェンの内服でコントロールします。
その後の帯状疱疹後神経痛に関しては、通常の鎮痛薬とは異なる薬剤を使用し対処していきます。帯状疱疹後神経痛の合併症を予防するためにも、早期に抗ウイルスを内服することが大切です。
皮膚症状に対しては痂皮化するまでの間、外用剤を塗りガーゼで覆います。
◯ワクチン
帯状疱疹のワクチンには2種類あります。
*ビケン
接種方法と回数:皮下に1回接種
接種条件:自己免疫疾患、免疫抑制剤使用中の方は接種できません
予防効果:接種1年時点で6割程度、接種5年時点で4割程度
副反応と割合:30%以上接種部位の発赤、10%以上接種部位のそう痒感・熱感・腫脹・疼痛・硬結、1%以下発疹倦怠感
*シングリックス
接種方法と回数:筋肉内に2ヶ月以上の間隔をあけて2回接種
接種条件:免疫の状態に関わらず接種可能
予防効果:接種1年時点で9割程度、接種5年時点で7割程度、接種後10年時点7割程度
50歳以上を対象とした試験結果
・50歳以上における接種後6~11年の有効性は79.7%(95%CI73.3~84.6)であった
・50歳以上における接種後11年目の有効性は82.0%(95%CI63.0~92.2)で、接種後各年においても有効性が示された
・70歳以上における接種後6~11年の有効性は73.1%(95%CI62.9~80.9)で、50歳以上のにおいて有効性が示された
第Ⅲ相臨床試験(ZOE-50試験とZOE―70試験)の延長試験であるZOSTER―049試験より
副反応と割合:70%以上接種部位の疼痛、30%以上接種部位の発赤 筋肉痛 疲労、10%以上頭痛 接種部位の腫脹 悪寒 発熱 胃腸症状、1%以上接種部位の掻痒感 倦怠感 その他疼痛
ワクチンについてはポスターが院内にも掲示をしています。どうぞ参考になさってください。罹患する患者数の統計やワクチンの効果や副反応を考慮しご自身にあった予防を考えるきっかけになれば幸いです。かすがい皮膚科では、帯状疱疹の診断と治療、ワクチン接種をおこなっております。接種を希望される、接種をお考えの方は診察にお越しください。
