こんにちは、かすがい皮膚科です。みなさんの体にも多く存在するほくろ。顔の大きなほくろが気になる、以前と比べて大きくなっている気がする…そんなほくろについてお話します。
ほくろとは、メラニンという色素をつくる細胞(メラノサイト)が変化してできる良性のできもので、医学的には色素性母斑、母斑細胞母斑などと呼ばれます。表皮と真皮の境界や真皮の中に存在しているメラニン色素を作る母斑細胞が増えることで、褐色ないし黒色に見えます。大きさは通常直径5mm以下の場合がほとんどで、平らなものや盛り上がったものもあります。ほくろは生まれつきあるものもあれば、年齢とともに増え、色も濃くなったり大きくなっていくことがあります。ほくろと診断されても定期的な経過観察をおすすめします。ほくろが急激に大きくなったり見た目が変化した場合は早めに受診しましょう。
当院にはほくろ除去を希望し来院される方が多くみえます。ほくろや脂漏性角化症と診断された場合、当院では除去方法として、CO2レーザーという機器を用いて施術します。詳細については2020年10月16日のブログをご覧ください。CO2レーザーは自費の美容施術となりますので、ご希望の方は一度美容診察にお越しください。なお、大きいものや部位により切除が望ましい場合は病院を紹介させていただく場合もあります。
しかし、見た目だけでほくろと判断することは難しく、ほくろとは全く別物である可能性もあります。ほくろとほかの病気との鑑別方法として、ダーモスコピーという拡大鏡を用いた検査が第一選択となります。ダーモスコピーを用いることで、表皮~真皮浅層までの色調・構造を拡大して詳細に観察できます。ダーモスコピーでも診断がはっきりしない場合は、皮膚の一部を採取し、皮膚の組織を調べる皮膚生検にて病理検査を行うことがあります。病理検査を行うことで、多くの場合は確定診断が可能となります。生検当日は出血しやすい状態のため、シャワーや入浴は避け、激しい運動や飲酒を控えることが必要となります。また、検査後約2週間は生検部位をガーゼで保護する処置が必要です。当院でも平日の午前中に皮膚生検を実施しております。気になる方は一度皮膚科専門医にご相談ください。
ほくろによく似た疾患
・脂漏性角化症:加齢に伴う良性腫瘍。いわゆる「老人性イボ」。シミ(老人性色素斑)から始まる場合もある。
・日光角化症:日光(紫外線)を浴び続けてきたことにより発症する皮膚疾患。有棘細胞がんという皮膚がんのごく早期の病変と考えられており、治療をせずに放置すると有棘細胞がんへと移行する可能性がある。
・悪性黒色腫(メラノーマ):「ホクロのがん」とも呼ばれていて、メラノサイトが悪性化したもの。日本人では足底や手の平、手足の爪が好発部位だが、顔面や体など様々な部位に出現し、目や口の中などの粘膜にできることもある。
ホクロと見た目では判断しづらく、心配になられる方も多いです。気になったら、まず受診を(^-^)