今回は水虫についてお話しします。
水虫とは、白癬菌(はくせんきん)と呼ばれる真菌が原因で起こる疾患です。足の皮膚に白癬菌が入り込んで、角質を栄養として菌が増えます。
白癬は皮膚糸状菌というカビによって生ずる感染症で、新たに皮膚科を受診する患者の10%程度を占めるありふれた病気です。白癬の中でも足に生ずる足白癬は、夏になると日本人の4人に1人見られると予想されています。
白癬菌は角層の下の方まで増殖しないと、痒みなどの症状が出てきません。そのため水虫と気がつかずに放置している足白癬患者さんが多くいます。しかし治療を求めて来院する足白癬患者は、痒みなどの症状がある人だけです。つまり家庭内に水虫患者がいれば、同居している他の人も水虫にかかっている可能性がありますが、必ずしも治療を受けているわけではありません。そのため治療を求める患者だけでなく、同居している足白癬患者や爪白癬患者全員を同時に治療しない限り、家庭内の白癬菌はなくなりません。また足白癬患者がいる家庭では、家庭内に白癬菌がばらまかれているので、同時に部屋の掃除などをして、家庭内から白癬菌を取り除かないと、再感染が起こってしまいます。
水虫の症状としては、多くの方は足裏に症状が現れます。「足の指の間や足の裏がかゆい」、「足の指の間がふやけて白くなったり、ジュクジュクする」、「足の指の間や足の裏の皮が剥ける」「足の裏に小さい水疱ができる」などの症状があります。
・小水疱型:土踏まず、足に付け根に多く現れ、小さな水ぶくれが多発し、めくれる。
・趾間型:足の指の間が赤くなる、水疱ができるという症状から始まり、皮膚がめくれるふやけるという症状が出現します。痒みを伴うことがある。
・角質増殖型:かかとに好発し、皮膚が硬く、かさつきやひび割れをを起こします。
水虫は足に限らず、体、顔、頭、手、股間などあらゆる部位に白癬菌はうつります。
爪にうつった場合は、爪白癬と呼ばれ、爪が白く変形したり、盛り上がって分厚くなります。
診断は、皮膚の一部を採取し顕微鏡で菌の有無を確認します。痒みがあれば足白癬だと思っている人も多く、そのような場合13~30%はここで重要なのは、見た目だけでは白癬菌がいるかどうかは言えません。そのため、皮膚科専門医を受診し検査を受ける事が重要です。
また、ご自宅で市販の水虫のお薬を塗っていた場合は、検査をしても白癬菌が確認できないこともあります。できればお薬を塗っていない状態で来院されることをオススメします。
《治療法》
足水虫の治療は外用薬になります。
6ヶ月以上を目安に根気よく外用すれば根治できます。当院では外用の仕方を丁寧にご指導しております。
爪水虫の場合は外用薬と内服薬による治療があります。完治するには爪が生え変わるまでの時間がかかります。年齢やどの爪かによって爪が伸びる速さが異なりますが、手の爪で半年から1年、足の爪で約1年から1年半かかります。
塗り薬は通常は6ヶ月以上、症状が良くなるまで継続して外用します。内服薬による治療もあります。内服薬は肝機能異常のある方は使用できません。治療開始前と内服開始後は肝機能異常などの副作用早期発見のために、定期的な採血を行います。
また、自己判断で他の持病の内服薬がある方は飲み合わせにより内服治療は出来ないこともあります。
《治療とともに気をつけるポイント》
・爪、足水虫は一緒に治療する
・足は、毎日指の間まで優しく丁寧に泡で洗い、タオルで水分を十分にふき取って乾燥させる
・毎日靴を履き替えて、靴を乾燥させる
・スニーカーなど洗えるものは自宅で洗う
・部屋はこまめに掃除して清潔を保つ(玄関マットやラグは干す)
・バスマットやスリッパ・爪切りなどは共有せず、その都度交換する
・温泉やスポーツジム、サウナを利用した後は足を洗う
・靴や靴下は通気性の良いものを選ぶ(5本指ソックス)
【どこからもらったのだろう?】ということですが、様々なものを介して他の人にうつります。
水虫は自覚症状が少ないため、皮膚科にかかろうとは思わないかもしれません。
白癬菌は角層の下の方まで増殖しないと、痒みなどの症状が出てきません。そのため水虫と気がつかずに放置している足白癬患者さんが多くいらっしゃいます。
当てはまる症状がありましたら一度診察にお越しください。
参考文献
日本皮膚科学会・病気がみえるvol.14 皮膚科