ようやく朝晩は涼しくなり、秋の始まりを感じるようになりました。
今回は季節の変わり目になると症状がおこりやすくなる脂漏性皮膚炎についてのお話です。
皮膚は皮脂腺から毛孔を通じて皮脂が分泌されています。
皮脂の分泌が多くなった状態を脂漏といい、脂漏になると紫外線やカビ(真菌:マラセチア)
などによって皮脂が脂肪酸に分解され、皮膚が炎症を起こすことがあります。
これを脂漏性皮膚炎といいます。
脂漏性皮膚炎のできやすい場所は、額(生え際)、頭皮、小鼻の際、眉、耳、脇などの皮脂分泌の多い場所です。
これらの部位に赤みや痒みがあったり、ぽろぽろと白いものが落ちてくる場合は脂漏性皮膚炎の可能性があります。
また、過剰な皮脂とともにマラセチア真菌(カビ)の増殖が原因としても上げられます。
マラセチア真菌はヒトの皮膚に普通に存在する常在菌で脂を栄養源とし増えます。そのため、過剰な皮脂分泌に伴いマラセチア真菌が増え症状を引き起こします。
脂漏性皮膚の治療は、抗真菌剤の塗り薬を使用します。真菌の細胞膜構成を阻害し原因となる真菌の増殖を抑えることにより抗真菌作用を示します。痒みが強い場合は痒みを抑える抗ヒスタミン剤の内服薬を併用することもあります。
「脂漏性皮膚炎は治りますか?」とよく聞かれますが残念ながら根本的な解決は難しく、肌質の一つとしてうまく付き合っていくことがベターです。
脂漏性皮膚炎を悪化させる要因としては
1、 カビの寄生
2、 入浴不足や洗顔不足におよる皮脂貯留
3、 ストレス
4、 ホルモンバランスの崩れ
5、 睡眠不足など生活サイクルの乱れ
6、 ビタミンB不足など、栄養バランスのかたより
などがあげられます。
詳しく解説をしますと、日常の肌のお手入れが大切ですので洗顔はよく泡立てた洗顔料で朝晩2回は洗いましょう。洗顔後はスキンケアできちんとお肌に潤いを与えましょう。頭皮に症状がある場合、シャンプーは毎日行い洗髪後はドライヤーを使い乾かすことで蒸れを防ぎます。抗菌作用のあるシャンプーの使用もオススメです。
また、食生活にも注意が必要です。
➀ビタミンが欠乏すると皮膚症状が現れやすくなります。ビタミンB群を多く含む食品を摂るように心がけましょう。(豚肉、レバー、ひれ肉やささみなどの脂が少ない肉類、牛乳、卵、シジミ、赤みの魚、ホウレン草、トマト、キャベツ、シイタケ、バナナ、パプリカ、サツマイモ、玄米など)
➁脂肪分、糖分などの皮脂分泌を高める食品は皮膚に悪影響を与えるので控えましょう(ナッツ、コーヒーなどのカフェインの多い飲み物、アルコール、香辛料など)
➂規則正しい食事をし、便秘にならないよう食物繊維の多いものを摂るようにしましょう。(玄米、麦、豆、野菜、いも、海藻、きのこ、ゴボウ、フキ、セロリ、アスパラガス、キャベツ、白菜、こんにゃく、バナナ、ミカン、グレープフルーツなど)
疲れや睡眠不足も悪化因子になりますので、身体を適宜休めたりしっかりと睡眠をとることが大切です。
脂漏性皮膚炎は医師が処方する薬の外用とともに、ご自身で日常生活を気を付けることで状を鎮静させることができます。これらの症状でお困りの方は診察にてご相談ください。