こんにちは、かすがい皮膚科です。
診察室や処置室で軟膏説明しているときに、「ステロイドは使いたくない」「ステロイドで黒くなる?」「ステロイドは副作用が出る?」と言われる患者さんも時々いらっしゃいます。
ステロイド外用薬は正しい使用をすることで安心して使用できる外用剤になっています。
ステロイドはもともと体内の副腎という臓器でつくられてるホルモンで、このホルモンがもつ作用を薬として応用しているものがステロイド薬(副腎皮質ステロイド)です。
ステロイド外用薬は局所(塗った部位)の炎症を鎮める作用にすぐれており、湿疹、皮膚炎を中心に皮膚疾患の治療に幅広く用いられているお薬です。
ステロイド外用薬の副作用としては、
・皮膚の萎縮
・毛細血管の拡張(顔面に起こりやすい)
・酒さ様皮膚炎、口囲皮膚炎、紫斑(内出血)
・肌の乾燥
・感染症の誘発(にきび等)
などがあげられます。
よく質問される内容を一部ご紹介します。
・ステロイド外用薬を使用すると、色が黒く残ってしまいますか?
→使用したから黒くなるのではありません。ステロイド外用剤を塗った後に色が黒くなるように感じるのは、炎症の赤みで見えなかった色素が、ステロイド外用剤の使用で炎症が治まることによりかえって目立ってくるからです。ステロイド外用薬などをなるべく早く用いて炎症を治め、再び悪化しないよう、気をつけることが色を残さないためには大切です。
・ステロイド薬塗ったところは日光に当ててはいけないの?
→「ステロイドを塗ったところを日光に当ててはいけない」のではありません。湿疹をはじめとする炎症性皮膚疾患がある部位は全て、ステロイドの使用有無にかかわらず、日光に当てない方がよいです。炎症のある部位に紫外線が当たると炎症後色素沈着が強く出てしまう可能性があります。
・ステロイド外用薬を一度使用するするとやめられなくなる?
→上手に使用して症状を改善することができればお薬をやめることもできます。
ステロイド外用薬は炎症を抑えるお薬で、病気そのものを治すものではありません。患者さんの症状に合わせてステロイド外用薬を使用するかどうかを決め、薬の強さを調整していきます。お薬を急に自己判断で中止すると症状が悪化することがあります。症状をみながら徐々に強さを切り替え、さらに塗る回数を減らしていくというように慎重に行います。
長期にわたる治療が必要な場合は、副作用が起こらないように、お薬を上手に使っていきながら、症状を改善していきます。
・ステロイド外用薬を使用すると、ニキビ、おできなどができやすくなる?
→ステロイド外用薬を使用した場合、全身的な問題はありませんが、お薬を塗った部分の皮膚の免疫が低下します。そうすると、その部分に細菌、カビ、ウイルスがついて、ニキビができやすくなるのは本当です。今までと違う症状が現れた場合、自己判断せず受診してください。
早いうちにお薬を中止して、適切な治療を行うことにより、短期間のうちに治すことができます。
間違った情報に惑わされないようにするにはどんな副作用があるのかをきちんと理解することが必要です。皮疹に見合ったステロイド外用薬を必要な期間使用しないと、十分に炎症を抑えることができずかえって使用期間や使用量が増えることも起こります。皮膚科専門医の指導の下ステロイド外用薬を上手に利用して、短期間できっちり治療する事を心がけましょう。
疑問点や不安なことがあるときには、診察でご相談ください。