こんにちは かすがい皮膚科です。
4月に入り新しい年度が始まりました。入学や就職など環境が変わる方も多いのではないでしょうか。今回は基礎に戻り、皮膚の生理機能について振り返りたいと思います。
皮膚は人体最大の臓器です。日本人の成人の平均で約1.6㎡の面積を占めています。これは、およそ畳1畳分です。体表面をくまなく覆い、体液の喪失を防ぎ、内臓を守っています。その他にも多彩な作用をもつことが明らかになっています。主な作用を7つご紹介します。
1つ目!バリア作用
皮膚は外界からの異物や紫外線の侵入を防ぐとともに、体液成分の喪失を防ぎます。また皮膚表面は皮脂膜により弱酸性に保たれていることにより細菌・真菌の侵入を防いでいます。そして皮下脂肪組織は外力に対しクッションの役割を果たすほか、エネルギーの貯蔵庫としての働きを持っています。
2つ目!体温調節作用
体温調節機能の中枢は脳にある視床下部に存在しています。体温調節中枢には体温を一定に保つ機能があり、体内において各種蛋白が十分に働くことができる37度前後に維持されています。指令をもとに血管や骨格筋の収縮および弛緩、汗腺の活動を活発化することにより熱を保持したり逃したりしています。
3つ目!知覚作用
温覚、痛覚、触覚および掻痒(かゆみ)などを感じることができます。感覚情報は皮膚の真皮から末梢神経に運ばれ、脊髄内に入り脳に向かうことで知覚として認識されます。
4つ目!分泌作用
体内の老廃物を汗腺から汗として体外へ排出しています。エクリン発汗(いわゆる汗)はアセチルコリンに支配されています。アポクリン発汗(いわゆるフェロモン)は哺乳類の芳香線が退化したものでアドレナリンに支配されています。
汗は本来無臭で、その後糖蛋白や脂腺が分解されることで臭気を帯びるようになります。
脂腺は油成分を分泌します。皮脂は弱酸性で皮膚の乾燥を防いだり、細菌の繁殖を防ぐ役割を担っています。
5つ目!産生作用
コレステロールやビタミンD3を生合成します。
ビタミンDは骨を丈夫にしカルシウムの吸収効率を上げてくれます。ビタミンD3生合成のためには、屋外で15分程度の日光浴がよいとされています。
6つ目!免疫作用
各種サイトカインを分泌します。サイトカインとは細胞から分泌されるタンパク質のことです。免疫反応の増強、制御、細胞増殖、分化の調節などを行います。
7つ目!吸収作用
低分子の物質は細胞内および細胞間隙を通じて吸収されるほか、毛包脂腺系を通じた吸収経路があります。外用薬の吸収もこの作用を利用してます。
以上が多彩な皮膚の生理機能でした。
スキンケアは皮膚の生理機能を良好に維持するためには、とても大切なことになります。皮膚の働きを知りなんのためにスキンケアが必要なのか考えるきっかけになれば幸いです。