こんにちは、かすがい皮膚科です。12月を目前にしてぐっと寒さが増してきましたね。季節の変わり目や空気が乾燥してくるにつれ、湿疹やアトピー性皮膚炎や乾癬の悪化で来院される患者さんが多くなっています。本日はそんな患者さんなどへも治療として行っている光線療法について説明していきます。
光線療法とは、光源ランプを用いて症状のある部位もしくは全身に紫外線を照射して、過剰な免疫作用を抑え、(【1】サイトカイン・ケモカインなどの液性因子への影響、【2】接着分子などの細胞表面の分子の発現変化、【3】病因となる細胞のアポトーシス誘導、【4】制御性T細胞の誘導など)症状を鎮静化する治療法です。塗り薬では症状が収まらないときや発疹の面積が広くなった時に紫外線療法が有用です。
光線療法は使用する紫外線の種類によってUVAを使用する「PUVA療法」、UVBを使用する「ナローバンドUVB療法」、「エキシマライト」などに分けられます。
当院では短時間で治療効果の高いエキシマライト照射装置のセラビームを導入しています。紫外線にはいくつかの種類がありますが、セラビームは紫外線に含まれる有害な波長を取り除き、より治療効果が高いとされる波長のみを使用するため副作用が少なく、照射時に特殊なフィルターを通すことによって治療に伴うリスクも軽減しています。当院ではセラビームミニとスリムの2種類の大きさの器械を取り扱っており、患部の範囲によって器械を選択していきます。そのため患部周辺の健康な皮膚に照射するリスクが軽減され、患部に的確かつ局所的に照射治療ができます。
アトピー性皮膚炎、尋常性白斑、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、円形脱毛症、慢性苔瘢状粃糠疹、菌状息肉腫(症)、悪性リンパ腫に保険適応があり、手湿疹や痒疹などにも効果的です。
治療方法は、患部に機器を密着させ照射し、その後外用薬を塗布します。痛みはなく照射部位はほんわかと温かくなるだけなので、安心して治療を受けていただけます。皮疹の改善効果だけでなく、速やかに痒みを軽減するのが特徴です。
アトピー性皮膚炎の方では照射後から平均1〜2週間で痒みが治りますが個人差があります。
また照射時に看護師より、「背中を当てるので後ろを向いてください」といった体位変換のお願いをすることがありますが、セラビームは患部とぴったり密着させて照射しないと、指示量と照射量が変わってしまい有効な治療効果を得られない可能性があります。そういった場面ではぜひみなさんご協力をお願いします。
紫外線療法のメリットとしては、治療効果が高いこと、副作用が少なく安全性が高いため安心して治療が受けていただけること、白斑や円形脱毛症など難治性の皮膚疾患に効果が期待できること、長期にわたり寛解状態(病状が治まっている状態)を維持できステロイド軟膏の使用量や副作用を減らすことが挙げられます。
副作用としましては、日焼けのようなヒリヒリ感や赤みがでることがあります。その場合は次回診察の際に教えてください。照射量の調整を行います。また日焼けや色素沈着のリスクもありますので、治療部位の小さい白斑などの患者さんは、患部以外の周りの皮膚の部分は日焼け止めを事前に塗って治療に臨んでいただくようご協力ください。忘れてしまった際は当院でもご用意がありますのでお声がけください。水疱などひどい日焼けとなることはほぼありません。
【注意点】
・連日は照射できません。(週1~2回で通っていただくとよいです)
・同部位に重ねて照射はできません。
・医師の診察にて特に症状の強いところ・必要であると判断した部位に照射指示が出るため、すべての部位に照射しない場合があります。
・白斑の患者さんは患部以外は日焼け止めをしっかり塗ってきていただくようお願いします。
・治療後は強い日光は避けてください。
・治療効果には個人差があります。
【治療の流れ】
① 医師の診察:患部の症状、前回照射時に照射部位の疼痛や赤みの有無や持続日数を確認します
② 処置室にて看護師にて照射(症状や治療範囲により異なりますが、一照射数秒~数十秒程度です)
③ 外用薬塗布
④ 終了
当院では豊田市のクリニックではめずらしく光線療法の器械が置いてある数少ない施設です。身近なクリニックで一緒に治療に取り組んでみませんか?