字を書いたりする時に手汗で紙が破れちゃう、滑ってペンが握りずらい…
手汗で手を繋ぐことやハイタッチをすることに抵抗がある…
人にはなかなか相談しにくい手汗の悩みはありませんか?昔からある症状で体質だから仕方がないと諦めていませんか?
今回は手汗と治療についてお話しします。
日本で初めての保険適用の原発性手掌多汗症治療薬アポハイドローション20%(有効成分:オキシブチニン塩酸塩)が2023年6月より処方できるようになりました!
まず、多汗症には全身に汗が増加する全身性多汗症と体の一部に汗が増える局所多汗症があります。全身性多汗症には特に原因のない【原発性】と感染症、内分泌代謝異常、糖尿病や悪性疾患など他の病気や薬の副作用(向精神薬など)などが原因による【続発性】があります。局所多汗症も原因のわからない原発性と外傷や腫瘍などの神経障害による局所性多汗症があります。
原発性手掌多汗症とは…
日常生活をする上で、困りごとをもたらすほど手から汗が出る症状があるもので、明らかな原因がないものを指します。多汗症は汗をかく部位によって発症する年齢が異なります。手のひらは発症が早く、13.8歳が平均発症年齢のため学校生活にも支障をきたしていることがあります。
汗で湿った手は汗疹や皮膚がめくれたり、カビや細菌の感染を起こしやすいです。昼間(10時~18時)に汗が多いですが、睡眠中の発汗は停止します。
手掌多汗症はたくさんの汗は出ますが、汗腺の数や分布、形は人による違いはありません。手のひらは、緊張や集中といった精神活動が交感神経に伝わることで発汗を起こします。
手の多汗症状が6ヶ月以上続き、以下の6症状のうち2項目以上当てはまる場合、原発性手掌多汗症と診断されます。
□最初に手の多汗症状が出たのが25歳以下
□左右の手のひらに汗をかく
□睡眠中は発汗が止まっている
□1週間に1回以上、手の多汗症状がみられる
□家族に同じ症状の方がいる
□手汗のために日常生活に支障をきたしている
〈治療薬〉
アポハイドローション20%
エクリン汗腺にあるムスカリン受容体に対して抗コリン作用により発汗を抑制します。
主な副作用として、塗布部位の皮膚の炎症や湿疹、口の渇きなどがあります。
使用方法…
1日1回、就寝前に適量を両手掌に塗布します。(1回の適量は両手掌に対し5プッシュを目安とします。手の小さい人は調整してください。)
注意事項…
また、目を触る癖のある人は塗布後に綿の手袋をして薬が目に入るのを防ぎましょう。
塗っている間は効果がありますが、やめると戻ります。
妊婦、授乳婦を対象とした国内臨床試験は実施されていないため、処方の適応にはなりません。また緑内障、前立腺肥大による排尿障害、成分に過敏症のある方は使用禁忌となります。12歳未満の小児は診察にてご相談となります。
新薬のため、最大2週間処方となります。
手掌多汗症に対して当院で行なっているその他の治療としては、塩化アルミニウム外用薬があります(自費治療)。アポハイドローションとは作用機序が異なるため、以前に塩化アンモニウム外用液を使用したことがある方は、合う方を続けていくことをおすすめしています。両方併用はできません。
塩化アルミニウム外用薬は…
自費治療になるため、薬局で購入していただく商品となります。
皮膚表面にある汗の出口を塞ぐことで発汗を抑えます。主な副作用として、塗布部位の皮膚の炎症や、かゆみなどがあります。
使用方法…
1日2回(朝・夜)コットンに浸した液を両手掌に塗布します。夜は寝る直前にご使用いただきます。
効果が出るのに時間がかかりますので続けることで症状が改善していきます。
脇汗の気になる方はこちらのブログもご参照ください。
→原発性腋窩多汗症とエクロックゲル5% | 豊田市の皮膚科【かすがい皮膚科】