ニキビとは皮膚の慢性的に炎症の続く病気です。
皆さんがニキビと言われて想像されるのが、赤く腫れ上がった赤ニキビ【紅色丘疹(こうしょくきゅうしん)】や、膿をも持っている黄ニキビ【膿疱(のうほう)】のことが多いです。
実際には、ニキビは目に見えない毛穴の詰まり【微小面ぽう(びしょうめんぽう)=マイクロコメド】からはじまります。主な原因は、「ホルモンバランスなどにより毛穴の中の油分が増え、毛穴の出口が詰まること」により始まります。
コメドは、肌表面に白く小さなブツブツやざらざらした【白ニキビ】と毛穴に溜まった皮脂が酸化すると、黒っぽく目立つようになります【黒ニキビ】。
コメドを放置しておくと、毛穴に皮脂がたまりアクネ菌が増殖して炎症を起こし、赤ニキビや、黄ニキビへと移行していきます。
マルホ株式会社が、小学4年生から中学3年生までの子供を持つ母親1,256名を対象に「思春期ニキビに関する調査」を実施しました。
母親の回答によると、自身の子供である小学4年生から中学3年生の1,256名のうち、43.9%(551名)が顔または身体にコメドがありました。顔のニキビ(コメドまたは赤ニキビ)の保有率は49.7%(624名)、保有率と重症度は、男女ともに学年が上がるにつれ高くなりました。また、小学校4年から6年生では男子のニキビ保有率は女子よりも低く、中学生以降は横並びになるという結果に。第2次性徴のタイミングの男女の違いを反映していました。
回答者である母親を介して質問した結果ではありますが、子供がニキビについて相談しやすい相手として89.6%(562名)が母親と回答。それ以外は父親15.3%(96名)、友人12.4%(78名)であることが分かりましたが、誰にも相談しないが5.3%いました。
ニキビは90%以上の人が経験する身近な病気です。特に思春期にできることが多いため、「青春のシンボル」、「成長過程の一つ」というとらえ方をされがちですが、コメドがあるだけでも痕が残ることもあり、お子さんにとっては大きな苦痛です。これまでは、軽症のうちは化粧品やスキンケアだけで対応し、症状がひどくなったら医療機関にかかるというのが一般的でしたが、最近治療法が進んで早期の症状から医療機関で治療できるようになりました。
ニキビ治療には時間がかかります。保護者の方は、お子さんの通院に協力していただき、医師と連携しながら治療を継続することが大切です。
ニキビは1週間や1ヶ月で治るものではなく、皮膚の慢性炎症性疾患です。
炎症が悪化すると周囲の組織にも炎症が広がり、放置しておくと、いわゆる治らないニキビ跡と言われる状態になります。ニキビ跡には赤い跡、シミになった跡、凹んでクレーターになった跡などがあります。コメドの段階でも約1%、赤ニキビでは約8%がニキビ跡に移行するというデータがあります。
ニキビ痕を残さないためには、ニキビの始まりである毛穴詰まりの時点から治療を開始していくことが重要です!
症状に応じた薬や治療法を提案しますので自己判断で同じ薬を塗ったり、塗らなかったりするのはやめましょう。また、適切なスキンケアや食事、睡眠も大切です。
悪化があった時には自分の生活を振り返り、悪化しない生活が送れるようにサポートします。
ニキビがあると、お子さんの自尊心が傷つくことがあります。心理的なケアは難しいことですがまずは病院に受診することが第一歩になります。
もしお子さんがニキビに悩んでいたり、お子さんから相談を受けたり、『うちの子、最近ニキビが出来ているな』と思ったら、皮膚科専門医がいる当院にご相談ください。
当院では症状に応じた薬や治療法の提案とスキンケア、日常生活のアドバイスを行います。
これまでのニキビに関するブログもご参照ください。
ニキビの基礎知識
→ ニキビの基礎知識について | 豊田市の皮膚科【かすがい皮膚科】
ニキビ予防のために
→ ニキビ予防のために | 豊田市の皮膚科【かすがい皮膚科】
参考文献
(1)マルホ株式会社:ニキビ一緒に治そうProject 『小中学生の子供がいる母親に聞いた思春期ニキビに関する調査結果』