こんにちは、かすがい皮膚科です。
今日は爪についてお話ししていきます。
爪は皮膚や髪と同じケラチンというタンパク質から出来ています。爪が発生するのはお母さんのお腹の中にいる胎生7週頃から形成が始まり20週頃には指先に達し爪の形成が終了すると言われています。
よく、手の爪は1カ月に約3ミリ、足の爪は1ヶ月に約1.5ミリ伸びると言われていますが、実は年齢や季節によって伸びる速さは違います。通常手の爪の伸びは、19歳までは逐年的に増加し最大となります。20歳頃で1日に約0.1ミリ伸びます。50歳代では幼児の伸びに劣るようになり、さらに年齢とともに減少を続けます。夏に最も伸び、冬には伸びが少なくなります。小指の伸びが最も少なく他の手指の伸びはほとんど一緒ですが、その中でも中指が最大であるとの報告もあります。
皆さんは、爪の役割はご存知ですか?
まず、爪は手指を保護する役割があります。指腹やかかと側は厚い角質によって保護されていますが、背面の角質は薄く、手を使う仕事をすれば指先に外傷を受けやすくなります。そのため、爪で覆うことにより指先を保護する役割を担っているのです。次に足の指の爪は、腹側に加わる力を支える働きがあります。そのため、足の爪は体を支え、踏み込む力を強くする役割があります。また、感覚が鋭敏になり手指を使ってさまざまな細かい仕事を行ったり、細かい物を摘み上げる事が可能となります。爪が肥厚した場合には外観も悪くなりますが、細かい物を摘む事ができず非常に不便です。
また、爪は健康のバロメーターでもあります。爪と言われる硬い部分を爪甲と言います。爪甲は正常では透明ですが、その下にある爪床と言われる部分の毛細血管の色が透けて見えるため、健康な人の爪は薄いピンク色をしています。このように爪には大切な役割があります。
そのため、普段から爪を適切に手入れしていただく必要があります。爪の不適切な切り方や深爪は、「陥入爪」という疾患になりやすくなります。陥入爪とは、爪の角やふちが皮膚に食い込み、爪の周りが痛くなったり腫れたりします。さらに悪化すると、鮮紅色の肉芽が出現し、表面は容易に出血しやすくなります。肉芽が出現することで、さらに爪の圧迫が進み悪循環を引き起こします。この時痛みによる苦痛が伴います。特に足の親指に好発します。陥入爪の原因は窮屈な靴、先端の尖った靴、歩行時の圧力と足のバランスの不完全などが従来から原因と挙げられていましたが、実は本当の原因は深爪であると言われています。そのため、深爪にならない様に正しい爪の切り方が大切です。
★正しい爪の切り方★
爪切りは、爪が水分を有して柔らかくなった状態である入浴後がおオススメ!
大原則は、爪の角を落とさないこと!
※手の爪
爪の下の皮膚がみえるかみえない程度の長さに、指のゆるいカーブに沿って切りましょう。爪の両端は深爪に注意して少し丸めに整えます。
※足の爪
足の先の白い部分は四角い形に切ります。白い部分を全て切り落としがちですが、白い部分の長さが約1ミリ残るくらいが理想です。短く切りすぎないようにすることが大切です。
この時、手と同じように丸く切ってしまわないように注意してください。
普段何気なく白い部分を切り落としがちな爪切りですが、不適切な手入れにより、苦痛をもたらします。特に好発部位の足の親指に疼痛を伴う場合、日常生活を送る上で支障をきたす可能性があります。
今一度、ご自身、家族の爪を観察してみてください。そして、適切に爪切りができるよう爪の形を意識してみてください。
参考文献:爪 基礎から臨床まで 著者 東禹彦 金原出版株式会社